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アプタマー創薬の世界的なリーディング・カンパニー リボミック

自社創薬パイプライン

自社創薬の疾患領域と当該疾患領域における主要なパイプラインの概要は以下のとおりです。

眼科疾患領域(RBM-007:抗FGF2アプタマー、RBM008:抗ペリオスチンアプタマー)

国内の失明原因の第3位は人口の高齢化に伴って増加中の加齢黄斑変性症ですが、欧米では同疾患が失明原因の第1位となっています。また、国内では、毎年3000名以上が糖尿病性網膜症で失明しており、同疾患は国内での失明原因の第2位(2013年度)となっています。
当社は、これら眼科領域のUnmet Medical Needsを充たすべく、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)(加齢黄斑変性症)およびペリオスチン(糖尿病性網膜症)に対するアプタマーを開発中です。
特にFGF2に対しては、特異性の高い、強力な阻害活性を有するアプタマー(化合物番号RBM-007)の創製に成功し、臨床試験の実施に向けて精力的に準備を進めています。RBM-007は、既存の加齢黄斑変性症の治療薬である抗VEGF薬が対象とする血管新生の抑制のみならず、抗VEGF薬では抑制することができない、瘢痕形成(網膜の線維化)の抑制という、二重の作用を有することが確認されています。このような二つの異なる作用をあわせ持つことで、RBM-007は革新的な加齢黄斑変性症の治療薬となることが期待されます。

骨疾患領域(RBM-007:抗FGF2アプタマー)

骨疾患領域には、骨粗しょう症、リウマチの進展による関節破壊、癌の骨転移やそれに伴う疼痛、軟骨無形成症など十分な治療効果が得られず、また予防できないUnmet Medical Needsが残っています。
当社は上記のような、関節リウマチに伴う関節破壊の防止や改善、骨粗しょう症の治療から癌の骨転移の治療とその症状(特に激しい痛み)の緩和、さらに軟骨の成長促進による低身長の治療などを目的に、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)に対する特異的かつ、強力な機能阻害性RNAアプタマー(抗FGF2アプタマー)を創製いたしました。

研究の成果

このアプタマーにより動物試験等で以下の事項を世界で初めて明らかにし、研究論文をMolecular Therapy(2016年8月電子版)に発表いたしました。

・FGF2は骨疾患における増悪因子となりうる。
・抗FGF2アプタマーは癌骨転移後の痛みに対してモルヒネと同等の鎮痛作用をもつ(図1参照)とともに、リウマチや骨粗鬆症における骨破壊を防止する(図2参照)。
・抗FGF2アプタマーは軟骨成長板の退縮防止の作用をもつ(図3参照)。

<図1:癌性疼痛モデル動物における抗FGF2アプタマーの薬効試験>

癌性疼痛モデル動物における抗FGF2アプタマーの薬効試験

正常なマウスの大腿骨に癌細胞を移植すると、癌細胞の増殖に伴って激しい痛みが発生し、マウスの足の裏を軽く突いただけで、痛くて足を引っ込めるようになる。本試験で、どの程度の強さの刺激まで我慢できるかを測定した結果、抗FGF2アプタマーはモルヒネと同等の鎮痛作用を持つことが明らかとなった。

<図2:骨粗しょう症モデル(OVX)動物における抗FGF2アプタマーの薬効試験>

骨粗鬆症モデル(OVX)動物における抗FGF2アプタマーの薬効試験

卵巣を切除したラットは、徐々に骨密度が減少するが、卵巣切除後にアプタマーを隔日投与して、90日目で骨密度を測定した結果、抗FGF2アプタマーが濃度依存的に骨密度の低下を抑制していることが明らかになった。

<図3:図2の試験動物の病理試験結果>

図2の試験動物の病理試験結果

OVXモデル動物では、大腿骨の骨端軟骨成長板(軟骨を作り骨を成長させる部分)が著しく縮退するが、アプタマー投与により骨端軟骨成長板の縮退が劇的に抑制され、回復することが明らかになった。

新薬の開発

軟骨形成の異常によって発症する病気として知られる軟骨無形成症(四肢短縮による低身長を主な症状とする希少疾患である Achondroplasia)は、FGF受容体のひとつであるFGFR3に起きた突然変異によってFGFのシグナルが過剰に惹起されて軟骨形成が抑制されることが明らかになっています。そのため、軟骨成長板におけるFGFR3の主要な結合分子と考えられるFGF2の働きを抑制する抗FGF2アプタマーによりFGFR3からのシグナルの惹起を抑制すれば軟骨無形成症に対する画期的な新薬になる可能性があると私たちは考えています。
この軟骨無形成症治療薬の開発は、2016年2月に日本医療研究開発機構(AMED)の希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業に採択され、2015年度から3年間の研究開発費を受け取りながら開発を進めています。
当社は、軟骨無形成症を専門とする臨床医科学者である大阪大学医学部付属病院小児科の大薗恵一教授と共同研究を実施しており、抗FGF2アプタマーの軟骨無形成症への適応の検証を行ってまいります。
また、チェコ共和国Masaryk大学医学部との共同での研究も開始しております。担当のPavel Krejci博士は、軟骨無形成症の分子病理学を専門とする研究者であると同時に、チェコ共和国で軟骨無形成症研究(治療、創薬)プロジェクト組織である「ReACH」の代表を務めております。

疼痛領域(RBM004:抗NGFアプタマー)

痛みは体の異常を伝える重要なシグナルですが、時にQOL(Quality of Life)の質を損ない、様々な生活上の支障をもたらします。このため、多くの鎮痛薬が開発され市販されてきました。
この鎮痛剤市場のUnmet Medical Needsを充たす新薬の創薬ターゲットとして当社が狙っているのがNGF(Nerve Growth Factor、「神経成長因子」)です。
NGFは世界で最初に発見された成長因子で、末梢における疼痛の原因物質として知られています。従って、生体内でのNGFの作用を抑えれば、様々な痛みに対する効果が期待されることから、ファイザー等の世界的な製薬企業が抗NGF抗体を疼痛治療薬として開発しています。

<NGFによる痛みの伝達>

NGFによる痛みの伝達

当社が研究開発中の抗NGFアプタマーは、いずれも抗NGF抗体と同様にNGFの生理作用を阻害し、抗体医薬には無い「1回の投与で2日~7日間(最大2週間)作用が持続する」という優れた特性を示しています。
平成26年4月、本プロジェクトについて藤本製薬株式会社との間で全世界を対象とした独占的ライセンス契約を締結しました。POCを確認するまでは当社も積極的に開発をサポートして新薬の実現に貢献すると同時に、臨床開発に関する経験や知識の蓄積に役立てる予定です。

敗血症領域(RBM005:抗HMGB1アプタマー)

敗血症は細菌、ウイルス、菌類による感染がもたらす最も重篤な疾患で、病原菌に対する体の炎症反応が制御不能になり、体の免疫システムそのものが組織や臓器に損傷を与え、多臓器不全、ショックにより高い確率で死をもたらします。この敗血症領域におけるUnmet Medical Needsを充たすべく、当社が狙っている創薬ターゲットがHMGB1(High Mobility Group Box 1)です。

肺線維症等の線維症領域(RBM006:抗ATXアプタマー、RBM005、RBM007 他)

体の器官や臓器が線維化して本来の機能を発揮しなくなる疾患に線維症があります。線維症は、肺、肝臓、腎臓、筋肉等に起きますが、当社が最優先に狙っているのは、難治性で癌に移行する可能性が高く、治療満足度の低い重篤な疾患である特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis、IPF)です。
当社はIPF だけでなく腎臓や肝臓等の組織における線維症の治療というUnmet Medical Needsを充たすべく、線維症の発症やその進行に関連すると考えられている酵素であるATX(Autotaxin)を主な創薬ターゲットとして研究してまいりました。これまでに、ATXに対する特異的かつ、強力な機能阻害性DNAアプタマー(抗ATXアプタマー)を創製し、これにより以下の事項を明らかにいたしました。

・ATXと抗ATXアプタマーの複合体のX線結晶構造解析を実施し、世界で初めてアプタマーがATXの働きを抑える立体的メカニズムを明らかにした(図1参照)。
・立体構造をもとに新たなアプタマーをデザインし、肺線維症モデル動物でより強いLPA産生抑制効果を示すアプタマーの開発に成功した。

<図1.X線結晶構造解析を利用したアプタマーの作用機序と薬効改良>

X線結晶構造解析を利用したアプタマーの作用機序と薬効改良

(a)LPAとATXの複合体のX線結晶構造解析図。
(b)抗ATXアプタマーとATXの複合体のX線結晶構造解析図。ATXはLPCという脂質から末端のCholineを除去してLPAを産生する酵素である。LPAは生体の機能維持に働く重要な脂質メディエーターで、その亢進は肺線維症の発症に関与すると考えられている。当社と東京大学・東北大学との共同研究によってATXに対するDNAアプタマーとATXの結晶構造の解明に成功した(Kato et al., Nature Str. Mol. Biol. 2016, 23: 395-401)。その結果、アプタマーが、ATXのLPAを作る穴の入口に結合し、LPAの合成を阻害する立体メカニズムが明らかになった。
(c)構造解析情報をもとに新規アプタマーをデザインし、従来のアプタマー(RB011)に比べ、より強固にLPAの産生を抑制するアプタマー(RB014)の創製に成功した。